一般皮膚科・小児皮膚科
一般皮膚科・小児皮膚科
皮膚科領域の疾患は幅広く、似ているようで鑑別が必要な疾患もあります。各疾患別によくみられる訴え(“”と記載)と概念を簡単に解説します。
“肘と膝の裏がカサカサして痒いです。” “おでこ、首が痒くて赤黒いです。”
生まれつきのアトピー素因に加え、生活環境の刺激因子で発症する慢性的な疾患です。アトピー性皮膚炎の診断は血液検査ではなく、疾患の経過や家族歴が必須であり、初回から診断できない場合もあります。皮膚の症状だけではなく、アレルギー性鼻炎や食物アレルギーを合併しやすいことも特徴です。幼いときから発症し、思春期前後で治ると思われますが、実際には思春期や成人になってから発症する例もあります。各種アレルギーの増悪や掻痒感による睡眠障害を引き起こすため、早期、かつ長期的なケアが必要です。
“最近おでこにぶつぶつが出てきました。”
正式名は尋常性ざ瘡と言います。一般的に思春期のときから顔を中心に出現します。程度の差はあるが、ほとんどの人が必ず一度は患う疾患であり、治療の時期を逃すと痕が残ることがあります。また、成人になってからも悩みになることもあります。早めの適切な診断と治療が、未来の悩みを減らす一歩となります。
“頭が痒くてフケが出る。” “眉間、鼻周りが赤くて痒い、粉がふく。”
頭皮(特に後頭部や襟足)のフケと強くはないけど耐えれない痒み、長期間に渡る鼻周りの赤みとフケと弱い痒みが典型的なタイプです。外用治療にて改善しますが、再発しやすく長期間のケアを必要とする疾患です。
“手荒れが治らないです。” “手が割れて痛いです。” “最近指にぶつぶつするものが出て皮がめくれます。”
昔から言われる‘主婦湿疹’が多いですが、異汗性湿疹(イカンセイシッシン)という症状が似ている疾患もあります。職業環境や生活習慣にてカビ(真菌)感染症や掌蹠膿疱症などの全く別の疾患を手湿疹だと思いなかなか治らないケースもあります。
“頭のフケがひどい。” “肘・膝に白いガサガサが付いている。” “腰まわり、お尻に湿疹ができた。”
治らない湿疹だと思う方もいます。特徴的な鱗屑紅斑(リンセツコウハン)が典型例で、関節部位などの好発部に鱗みたいな表面が観察される場合はこの疾患を疑うべきです。必要な場合は皮膚組織検査や、タイプによっては全身治療が必要な場合もあります。
“足の裏にできものができました。” “体のあっちこっちに白いぶつぶつができて、増えています。”
‘イボ’という一つの言葉で表現しますが、手足によくできる尋常性疣贅(ジンジョウセイユウゼイ)、伝染性軟属腫(いわゆる、水いぼ)、脂漏性角化症(いわゆる、老人性イボ)など、様々な疾患があり、治療法も異なることが多いです。足の裏にできた場合は魚の目だと思われ、長い期間放置してしまい、数が増えてから受診されることもあります。
“足が痒くて水虫だと思った。” “足の指の間がめくれている。”
一般的には足白癬を称しますが、爪にできる場合(爪白癬)、体にできる場合(体部白癬)、頭にできる場合(頭部白癬)もあります。痒みが出ないことも多く、逆に痒みが酷くて市販の水虫薬を塗ってかぶれてしまうこともあります。水虫は目で診断するのではなく、顕微鏡による真菌検査の上、診断することが正しい仕方です。
“お風呂の後、私だけ顔が真っ赤で嫌だ。” “ニキビみたいなのがいっぱいできた。”
酒さという疾患があり、顔(特に鼻と鼻まわり、頬)の毛細血管の拡張が特徴です。酷さによっては赤みだけの人から痒み、炸裂感まで感じることもあり、ニキビと似ている見た目になることもあります。治りが悪いことが多く、長期間の悩みになることもあります。内服、外用だけではなく、自費治療まで検討されることもあります。
“美容室で髪の毛が抜けているところがあると言われた。” “最近、抜け毛が多い。”
一部全身疾患の合併によって発症することもありますが、ほとんどの場合は合併疾患がないことが多いです。典型的には小銭型で抜けてきますが、難治性の場合、発毛の範囲が広く、全身の毛がなくなることも稀にあります。近年、新しい治療も導入されているため、在来の治療で効果が不十分な場合はその説明もいたします。
“唇に水ぶくれが…” “皮膚がピリピリ痛い(痛痒い)。”
ヘルペス属のウイルスによる疾患です。内服と外用治療を行います。ヘルペスは口唇周辺部が好発しますが、他の部位に発症することもあります。帯状疱疹は体幹にできるイメージがありますが、実は全身どこでも発症可能です。部位によっては(目、耳、臀部)深刻な後遺症(失明、聴力消失、排尿・排便障害)を残す場合もありますので早めの治療をおすすめします。
“足の指が腫れて痛い。”
‘巻き爪が痛い’という訴えで受診される方が多いですが、‘陥入爪’のこともあります。どちらも物理的な圧迫状態が続く限り治りが悪いため、内服や外用だけではなく、ホームケアの方法も伝えます。
“肌の色が白く抜けてきた。”
皮膚科領域で‘白斑’というと尋常性白斑を意味することが多いですが、老人性のもの、炎症によるもの、遺伝によるものや‘ハタケ’と言われる白斑の範疇に入らない疾患もあります。鑑別の上、光線療法などの特殊な治療を検討することもあります。
当院は傷に関して必要な場合、縫合を行います。適切な対応で傷痕が残りにくい/小さくさせることを目指します。熱傷は初期治療(受傷後24時間以内)が特に大事です。早い治療介入で回復までの期間の短縮や痕を残す可能性も低くなります。凍傷は冬に多いですが、個人によっては春・秋にも発症することがあります。爪囲炎などの爪周りの疾患を凍傷だと勘違いされることもあります。気楽に相談してください。
“熱が出て、肌に赤いのが出てきた。” “足が腫れて痛い。”
皮膚は全身を外部から守るバリアーであり、その故、常にいろんな物(物理刺激、異物、細菌ウイルスなど)から体を守っています。局所的な感染症(例:白癬、傷の二次感染)から入院を要する全身的な感染症(例:重症の蜂窩織炎による敗血症)、ウイルス感染症による反応性の紅斑(例:中毒疹)など、とても幅が広いですが、初期段階の適切な治療で全身的な異常を防ぐことができます。
皮膚科の疾患の中では、子供により好発する疾患(水いぼ、水痘、とびひなど)、成人より強い症状を示す疾患(虫刺されなど)、子供特異の疾患(おむつかぶれなど)があります。子供の体の特性を理解し、専門医として適切な対応を行います。