ドーピングは不公正なのか?|じょんサラン皮ふ科|瀬戸市高根町の皮膚科

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ドーピングは不公正なのか?

ドーピングは不公正なのか?|じょんサラン皮ふ科|瀬戸市高根町の皮膚科

我々はスポーツ試合の時、特に五輪(オリンピック)などの国際大会で、選手に対してドーピングテストを行うのを見ていて、それを別におかしいとは思わないです。

私もそう思っていました。薬物を使って、ドーピングなんて、いろんな選手が人生をかけて一生懸命努力して試合に出て、最善を尽くす、崇高なスポーツ精神を汚す行為ですと。

 

ドーピングは反則です。規定がそうなっていて、選手の健康を悪くさせる。知らない人はいないと思います。

薬物を使って能力を引き上げて努力は少なめにする...確かに公正ではないかと考えられます。

 

話を変えます。

とある人が毎日4時間ずつ、1日も休まず5年間筋トレをしました。

その人の隣には生まれてから一度もトレーニングなどやったこともない「ライオン」がいます。

 

さて、筋トレをまじめにやった人と、何もしてなかったライオンが戦うことになったら、どうなるでしょうか?

漫画や映画の話はなしにして、現実的に考えましょう。

素手で戦うなら間違いなく、ライオンが人に勝てます。

これは公正でしょうか? 

 

…なぜ、ライオンは餌を食べて寝てるだけなのに毎日鍛えてる人より強いのか?

それは「ミオスタティン」遺伝子によります。これは、「筋肉の限界」を決める、リミッターみたいな存在です。

ライオンは(地球上のほとんどの動物は人間より)このリミッターが緩く、残念ながら人間は生存のため、このリミッターがきついのです。

なのでいかに頑張ってもライオンより強くなれません。

これは公正でしょうか?

 

ライオンと比べるなんて!理不尽!

 

人間と人間は違うでしょうか?

例えば、陸上の選手の例です。

私たちが知っている有名な陸上選手、記録を残している選手はACTN3遺伝子の特定変異を持っています。

これで筋肉の瞬間爆発力・反応速度が飛躍的に上がります。もう生まれつきです。

世界トップになるためには「才能」という名前の「遺伝子」が必須です。これはもう現代になってから否定できません。

では、生まれつきの才能は公正、薬物で作った才能は不正ですか?

 

もはや人間はCrispr-Cas9という成果にて遺伝子を切って作り直すのが(理論的に)可能になりました。

実際、外国で犬にミオスタティン遺伝子の除去する実験をしました。

成功した犬はもっと強い筋肉を持つことになりました。

 

例えば私が、すごい才能をもっているサッカー選手だと仮定しましょう。

とある日、お金持ちの息子さんが、遺伝子を編集し、私より優秀なサッカー選手になってしまった…公正ですかね?

私が(仮定ですが)、才能をもって生まれたのは公正でしょうか?

 

もしかしたら、私たちが信じている、「公正」「不公正」は少し違うかも知れない…と思われる話をしてみました。

念のため、記載しますが、薬物使用を賛同するわけではありません。

科学の進歩によって新しい価値観や倫理問題が出てくる時代になったな、と思いました。

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