勤務医時代より、タイトルのような訴えを患者さんから聞くことが多いです。
特に年配の方や小さい子供を育ててる方、もしくはアトピーを持っている方からが多かったです。
保湿をまじめに塗っているけど、カサカサになってしまうから、塗るのは無駄でしょうか?
実は上の人たちは皮膚が薄い傾向があり、水分の消失量が多いとの共通点があります。
結論から言うと無駄ではなく、塗らないともっとひどくなる一方です。
冗談でよく言う話で、「ごはん食べてもどうせお腹すくからご飯食べるのは無駄です。」 ← この話と同じ類になります。
保湿を塗ることで肌の水分量は上がりますが、当然、乾いていきます。
自然に乾いていくのにカサカサさせないためには?
1.補給する水分の量を増やす : 塗る量・塗る頻度を増やす方法、保湿効果が高い物を塗るなど
2.乾燥していく水分の量を減らす : 失われる分を減らすこと
大きく分けるとこの2点がポイントだと思われます。
実は「保湿」とざっくり話していますが、世の中の保湿(塗るもの)には大きく分けて2種類存在します。
① 水分を肌に持っていくもの
② 肌の水分が乾かないようにするもの
① は一般的によく使われるものであり、化粧品だと「乳液」などになり、処方するものだとヒルドイド(ヘパリン類似物質)などがありますね。
② は肌をコーティングするようにして、蒸散を防ぐ効果を持っていて、化粧品だと「オイル」系、「ナイトクリーム」系になり、医薬品だと、プロペト(ワセリン)が代表的です。
では、①と②を同時に塗ると水分補給と防御を同時にできるから最高?と思われがちですが、報告によると同時塗り(例えば、ヒルドイドにワセリンを混合)はむしろ保湿効果が落ちるとされています。
同時に塗ってしまうと②が①の働きを邪魔してしまうからだと考えられます。
なので、①と②を一緒に使うならある程度時間を空けてから塗るべきだと思います。
その「ある程度の時間」は決まりがありませんが、私が①と②を同時に処方する時は以下のように説明します
① は 朝出かける前、お風呂上りに塗る
② は 寝る前塗る
②の場合はべたべたすることが多いため、朝出かけに塗るのは問題はありませんが、あまり好まれないことが多いです。
だいたい、風呂上りから寝るまで2~3時間が多いため、乾燥が治らない場合はこの仕方を試してみていいと思います。
もちろん普通の保湿を塗る量を増やしたり、頻度を増やすだけで解決する場合はそのままで良いはずです。
ぬってもかさかさは決して無駄ではありません。個人差があり、少し頑張って効果が出る人と、相当頑張らないといけない人がいるだけです。
そもそも少し塗っただけでよくなる方はクリニックまでいらっしゃらず済むことが多いです。
塗り薬を塗るのは非常に手間もかかるし、冬は寒いからスルーしたくなりますが、ぜひ頑張っていただきたいです。